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たとえば韓国人は日本カジノに入場できるのか(賭博罪の属人主義的適用)

カジノ賭博解禁の動き
05 /25 2017
 昨年、韓国のプロ野球選手が、フィリピンでカジノに興じたということで摘発されたというニュースがありました。それも、合法カジノに入場したことが問題とされたようです。なぜ、合法カジノなのに摘発されるのか。おそらく、韓国の賭博罪が属人主義的に適用されるからだと思われます(なお、韓国刑法原典にあたれていませんので想像になりますが)。
 
 属人主義とは、ある国の刑事法上のある犯罪の条文の適用範囲の問題で、A国の国民であれば、その犯罪をどこで(A国内であれA国外であれ)犯しても、その条文が適用されるということです。韓国の例でいえば、韓国人である以上、韓国内であれ韓国外であれ賭博をしてしまえば、韓国刑法上の賭博罪が成立するので、犯罪として摘発の対象になるということになります。唯一の例外が、韓国内の韓国人向けカジノである江原(カンウォン)ランドで、これは韓国の特別法によって違法性阻却されていると思われます。

 となるとどうなるか。日本カジノに韓国人が入場してカジノで遊ぶことは韓国刑法上の犯罪に該当するので、入場させてはいけないのではないか、というのが論理的帰結ではないでしょうか。
 それとも、韓国人が犯罪を犯そうとしているのを分かっていながら、韓国人に日本カジノで賭けをしてもらうのでしょうか。帰国した韓国人が摘発されるかもしれないが、知ったことかとなるのでしょうか。「世界一厳格なカジノ規制」をしくカジノは、母国で犯罪者として処罰の対象となる人の入場をさせてはいけないのではないか。

 こうした視点は、ギャンブルオンブズマンの井上善雄弁護士がかなり前に明らかにしておられました。

 賭博罪の属人主義を採用する法体系の国がどれだけあるかは存じませんが、一定数はあることでしょう。こうした人たちの入場も許すのでしょうか。

 カジノというのは、目の前の人が犯罪を犯そうとしていることを分かっていながら、それを許してしまう産業なのでしょうか。だとしたら、ずいぶんとモラルの低いことと、いわざるをえません。

 今後の議論の発展を期待します。
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