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「大阪でのカジノ反対運動とこれからのたたかい」(新川眞一氏)

カジノに関する反対、慎重意見
09 /16 2019
 司法書士の新川眞一さんが今年の 「クレサラ白書」に寄せられた原稿を、その許しを得て、転載させていただきました。


    大阪でのカジノ反対運動とこれからのたたかい

2019年9月3日

大阪いちょうの会
                           司法書士 新 川 眞 一

第1、カジノより防災
 1、多くの国民の反対世論に背を向け2018年7月にカジノ実施法が強行成立させられた。ここでは法案の問題点の数々には触れないが、311項目もの政省令委任事項が定められており、法律の体をなしていないほど問題の多い法案であった。そのため、強行成立に際しては31項目もの付帯決議がなされ、さらにはカジノを解禁する口実としてギャンブル依存症対策基本法も前後して成立させられたのは記憶に新しい。
2、実施法を審議しているさなかには、大阪北部地震(6月19日)や、西日本豪雨災害(6月28日から7月9日頃)など、国家的な非常事態とも呼べる災害が関西地方を中心に発生した。ところが、政府はこうした災害対策よりもカジノ実施法案の審議を優先させ、世論の大きな反発を受けることとなった。その後も9月4日に発生した台風21号による被害では、関西空港の連絡橋にタンカーが衝突するなどして空港機能が麻痺しただけでなく、25年万博とカジノ招致を予定している夢洲の護岸も高波で一部破壊をされている。
3、こうした数々の災害被害に遭った大阪・関西地方の住民らは、後述する夢洲という立地の個別の問題とも相まって、「カジノよりも防災対策を」の要求を一段と大きくし、まさしく府民的要求の様相を呈するようになった。

第2、大阪いちょうの会のギャンブル依存症対策事業~依存症被害ゼロを目指して~
1、多重債務被害者のなかにギャンブル依存
 私たち大阪いちょうの会は、長年、サラ金やクレジット、ヤミ金被害の救済のために救済活動と法規制を求めて30年以上活動を続けてきた団体であるが、多重債務被害者のなかに必ず一定割合を占めているのが、ギャンブル依存症者である。
 ところが、窃盗や強盗、横領事件が連日の如く報道されているにもかかわらず、ギャンブル事業者がスポンサーとなっている商業マスコミでは、犯罪事件の背後にあるパチンコや競輪競馬競艇等のギャンブルによる借財がその引き金になっていることに焦点が当てられて詳しく掘り下げられることは決してない。   
2、ギャンブル依存症は業者によって作られた「被害」
 カジノ賭博場設置反対運動をつうじて、全国的に存在するギャンブル依存症被害の深刻な実態が浮き彫りにされてゆき、ギャンブル依存症がWHOでも認定されている疾患(病気)であること、国を挙げてギャンブル依存症被害の対策を講じなければならないことが、社会的コンセンサスとなってきたことは大きな運動の成果であった。
3、大阪いちょうの会の新たな取り組み
 国やカジノ推進派も世論と運動に押されて「ギャンブル依存症対策」に取り組まざるを得なくなった結果、カジノ法と抱き合わせで昨年7月に「ギャンブル依存症等対策基本法」を成立させた。この法律については、カジノを誘致するためのアリバイ対策であるとか、実質的な財源措置を伴わない見かけだけの対策法であるとかの批判は強い。しかしながら、これまで何らの調査や対策すら行ってこなかった国の姿勢が運動の成果によって少しは前進したものと受けとめるならば、私たちは大いにこの被害対策に民間団体としても取り組むべきであるし、国にこの対策をより実質的な中身を伴ったものにするよう働きかけをしてゆくことが求められている。
 このような見地から、私たち大阪いちょうの会は、全国で320万人とも言われるギャンブル依存症者とその家族らをはじめとする被害者の掘り起こしと救済活動に本格的に取り組むようにシフトを移してきた。
 従前より取り組んできたギャマノン(ギャンブル依存被害家族の自助グループ)が実施する家族教室へ当会の相談員を定例参加と、そこでの法律相談的側面からの支援活動に加えて、本年9月より毎週火曜日の「ギャンブル被害電話相談会」、「ギャンブル被害当事者及び家族のお金にかかわるミーティング」事業を実施し、ギャンブル被害救済に向けて、事案の早期介入を図る努力を重ねている。
4、本来の「対策」とは、徹底した「予防」
 そもそも本来のギャンブル依存被害対策は、ギャンブル依存被害を社会から無くすことである。しかしながら、国や行政はギャンブル依存症被害を「ゼロにする」とは絶対に言わないし、そもそもゼロにすると絶対に言えない。ギャンブル産業はギャンブラーがいないと成り立たない事業であるからである。
 私たちは、我が国に存在する既存ギャンブル事業の縮小撤廃も含めて、新たなカジノ誘致を阻止することこそが、最大のギャンブル依存症被害への対策であると位置づけて取り組みを続けてきたし、今後も更にその取り組みを強めてゆくものである。
 ギャンブル依存症は完治しない疾患であることから、事後の「治療」よりも事前の「予防」がはるかに大事であることから考えれば当然のことで、麻薬や覚醒剤などの薬物による被害を事後に治療するのではなくあらかじめ禁止をし、そしてその被害に遭わないように啓発や教育をする「予防」が大切なのと同じであると言ってもよい。

第3、2020年1月がデッドライン
 1、カジノ実施法の強行成立後、当初は国におけるカジノ管理委員会の発足は2019年7月1日と閣議決定されていた。しかしながら、5人のカジノ管理委員の人選は国会の同意人事事項であることから、官邸側としてはカジノについての国会審議はできるだけ避けたい。2019年4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙がひかえている。これらの選挙を前にして官邸側は、カジノ問題で国民世論の反発が拡がることを避けた。こうしてカジノ管理委員会の委員の人選をめぐっての国会審議はいまだ行われておらず、その結果、カジノ管理委員会の発足も先延ばしにせざるを得い状況が続いており、2019年8月現在においても未だカジノ管理委員会は発足できていない。
2、先般、私たちは、現地夢洲の抱える課題を明らかにすべく、本年7月10日に大阪市港湾局と交渉をおこなった。(大阪でのカジノ開業は大阪府と大阪市が一体で「IR推進局」という部局が管掌しているが、夢洲の埋立事業を管掌する部局は大阪市港湾局である。)
  席上での当局の話によると、遅くとも2023年3月末までには現地の埋立を完了させるスケジュールで、埋立がなされずまだ海面のままとなっている2区と呼ばれる夢洲の南部区域の埋立を完了させるためのいわば突貫工事を余儀なくされていることが明らかとなった。駅その他の商業施設の立地は港湾局の管掌ではないため、実際に開業までのスケジュールは更にタイトにならざるを得ない。
3、各報道によればカジノ管理委員会の発足時期は2020年1月頃だと見込まれている。本年8月8日に大阪で開催された日経新聞主催のカジノ推進派のフォーラムでは萩生田官房副長官が、「デッドラインは2020年1月26日と考えている」旨の発言をした。言い換えれば、大阪においては、この1月を過ぎれば25年大阪万博とセットで開発される2024年夢洲カジノ開業計画は、致命的な破綻を来たす、そういうスケジュールなのだということである。

第4、夢洲について
 1、ループホール  
その夢洲であるが、桜田照雄阪南大学教授(カジノ問題を考える大阪ネットワーク代表)の話によれば、同島の埋立に使用されてきた建設残土、しゅんせつ土砂についての環境基準には法規制の抜け穴(ループホール)があるため、環境アセスメント(環境影響調査)がいまだ全くなされていないというのである。
 話を端的に言えば「土壌汚染対策法」が出来たのは2003年で、1970年代から行われてきた夢洲をはじめとする大阪湾ベイエリア埋立には、それまでは法規制の適用にタイムラグがあることから、既存の廃棄物の調査が全くなされていないとのこことだ。
2、いまなお環境アセスメントがない
 ループホールによって埋立についての法規制のない状態のなか、90年代から順次夢洲に投入されてきた物質には、PCBなど毒性物質を含む産業廃棄物や土砂が埋立てられてきた可能性も指摘されている。こうしたなかで、環境アセスメント調査がなされていないという事実は、現地で万博やカジノを開催することより以前の重大問題であり、およそ集客をともなう施設を立地する場合に環境アセスメントが存在しないこと自体があってはならない問題と言わなければならない。
 私たちは、万博やカジノでなくともおよそ現地夢洲での大規模集客を伴う施設設備を立地しようとするのであれば徹底した環境アセスメント調査は不可欠であり、この調査は行政の責任である一方で、その手法と内容は市民住民に透明にされねばならないものであると考える。また、カジノ万博ありきで直前に実施をする環境アセスメントは、実施を容認するためにデータを合わす「アワスメント」とならざるを得ない。環境アセスメント調査は、カジノ開発ありきでは無く、湾岸開発問題を府民全体でともにじっくり考える機会と材料として与えられねばならない。
 3、無理難題を抱えた人工島
 夢洲というカジノ予定地は、集客施設場としては到底ふさわしくない場所であり、そのような場所で2024年度までにカジノ場を建設しようなどとは無理難題とも言えるほどの難題を数多く抱えている場所である。本年7月10日の大阪市港湾局との交渉も踏まえて主な論点について以下に列記する。
(1)、土壌、水質
 私たちは、大阪市に対して、埋立地の土壌、水質についての環境影響調査を直ちにすべきであると主張してきたが、大阪市当局は埋立地の土壌については既往の埋立履歴を把握説明していると回答するのみであった。また雨水がたまったままの2区の水質については、市民が触れるのにふさわしくない水質であること、利用方法によっては対策が必要であることは当局も認識をしてそれを万博側に伝えていることを認めている。いずれにせよ環境アセスメントが実施されていないことが重大問題である。
(2)、埋立、護岸の耐震性
前述のとおり現地は環境アセスメントが無いうえ、地盤強度、地盤沈下とりわけ不等沈下、そして数十年先に必ず発生すると言われている南海トラフのような大地震、大津波の発生時における地面の液状化、護岸の耐震性などについての懸念が指摘されている。しかし大阪市港湾当局の私たちに対する回答は、阪神大震災、東日本大震災の教訓に基づく信頼性のある調査データに依拠するものが呈示されることなく、「・・の懸念は起こりえない」「・・・は可能である」等、肯定的かつ楽天的な回答の連発に終始した。
 もとよりIR型カジノ場の誘致建設には4年はかかると言われている。それを大阪府市IR推進局は3年で完了させると言明をしており、ただでさえタイトな工期のなかで、上記の各問題点をすべてクリアできる工事自体の信頼性が問われている。
(3)、インフラ整備
 夢洲には現在もまだ下水処理施設がない。建設計画は策定中というまだこれからの段階である。
 万博開催時には相当台数のバスの往来が予定されるところ、その交通処理が懸念される、現状の連絡道路が片側2車線であるところを3車線道路化する予定はあるが、万博開催時に予想される集客を確保するには一日あたり3000台以上が集中することになるが、その交通処理については博覧会協会任せである。
(4)、アクセス(鉄道整備)問題
大阪湾沖合に浮かぶ夢洲は市内から距離があるため、万博など集客事業を開催するためには大量輸送手段である鉄道延伸が不可欠である。ところがその事業費は1200億円とも言われるほど膨大で、関西財界にとっても大きな利権である一方で、投資額を負担する側にすれば大きなコストにもなり得る。大阪市は従前、カジノ事業者に200億円の負担を求めたことに対し、大阪撤退を表明したラスベガスサンズ社長は「公費でまかなわれるべき」と牽制をしていたほどであった。
4、絶滅危惧鳥「コアジサシ」の飛来
本年6月、夢洲に新たに大きな話題が浮上した。「大阪自然環境保全協会(ネイチャーおおさか)」が、夢洲には絶滅危惧種に指定されている鳥類コアジサシの繁殖地になっている可能性があると発表した。同団体は、コアジサシの同島への飛来に加えて、繁殖地としての生体についても調査を行うことにしている。廃棄物処分地である夢洲はこれまで埋め立てが続けられてきたが、草地や池が拡がり野鳥が集まる環境が形成されてきており、シロチドリなど多くの鴫、千鳥類の野鳥も確認されているが、今回のように絶滅危惧種が飛来していることが明かとなった以上、万博やカジノなど大規模集客施設を誘致させるのにふさわしい場所であるといえるのかどうか、府民市民的議論が必要である。
  
第5、府市によるカジノありきの前倒しフライング調査
 後述のとおり本年8月29日の報道では、大阪府と市は、最有力候補とされていた事業者のラスベガスサンズの撤退表明を受けてもなお、なんとしても万博開業前年までにカジノ誘致を急ぎたいとの考えの下、本来事業者が行う環境調査を前倒しで代行するという極めて異例の方針を固めた。
 吉村府知事によると2024年までのカジノ開業に向け、府と市は、周辺の水質や動物などへの影響を評価する「環境アセスメント」調査を来年から府市が実施するという。しかしながら本来、環境アセスはIR事業者が行うものである。カジノ管理委員会が未だ発足すらしていないことから国の基本方針の公表が遅れ、このままでは25年の万博までの開業に間に合わないための焦りから、行政が金を出してやってまでこの調査を買って出るというのは正気の沙汰とは言えない。調査費用は約7200万円とされ、後刻、事業者に支払いを求めるとのことであるが、現時点で事業者すら決まってもいないうちからどのカジノ業者なるかも判らない(来るかどうかも未確定だが)先様に気前よくポンと用立てしてやるほどの気前の良さには呆れかえるばかりでしかない。

第6、推進派と行政が抱える2つの困難
  大阪においては推進派と行政は根本的な2つの困難を抱えている。1つの困難とは、「彼らには時間が無い」ということである。万博前のカジノ開業にこだわり続ける以上、2024年までに何としてもカジノ場を開業しなければならないからである。カジノ実施法17条2項は、IR施設のうちカジノ施設だけの営業を先行させてはならないとされている。つまり、万博開始前にはカジノ施設だけでなくIR施設の全体が営業を開始していなければならないのだ。このため、ホテルや会議場など初期投資の額が大きくならざるを得ないだけでなく、事業計画をはじめ、あらゆる段取りが建設着工前にできあがっていなければならないというハードルである。
 推進派や行政は、国のカジノ基本計画の策定が遅れているなかであって、何としてでも2024年開業を目指そうとしている。しかしそうであるならば、IR施設全体の規模を縮小したうえで早期にカジノ開業に何とかとりあえずこぎ着けて、後に規模を拡大させるしかない。がしかし、小規模の施設ではカジノ業者側が見込んだ集客と収益を見込めないというジレンマに加えて、後述する立地条件の問題(アクセスの悪さ、莫大な開発投資への事業者負担など)も重なり、小規模での早期の開業はカジノ事業者の投資意欲をそぐリスク要因となっているといった困難である。
 2つめの困難とは、前記第3で詳述した立地である。大阪湾に浮かぶ夢洲は、ベイイエリア開発の負の遺産ともよばれ、80年代の終わりに大阪市が企業誘致をして経済の拠点を作ろうとしたが、バブル崩壊、約5兆円以上とも呼ばれる負債を大阪市は抱えることとなった。その後も様々な開発を試みたがいずれも失敗し、他に適切な利用方法が無かったことから長らく埋立ゴミの最終処分場として使用されてきた。にもかかわらず、新たな開発によってこれらの負債の償還のために夢洲での万博をかくれ蓑にしてカジノ場の開業がされようとうしている。しかしながら、交通アクセスが悪く、環境アセスすら無く、開発に莫大な費用のかかる開発は、府民市民の側の租税負担の問題のみならず、カジノ事業者や地元財界の負担も高いため、これらのコスト負担を具体的に議論検討することが市民府民にとってだけでなくカジノ事業者にとっても地元財界にとっても非常に難題とならざるを得ないのである。
 
第7、ラスベガスサンズの大阪撤退
 こうしたなか、本年8月22日、最も有力候補とされていた米ラスベガス・サンズが大阪でのカジノ開発を断念すると発表し、東京と横浜での開発の機会に注力する旨を明らかにした。
 機を一にして、同日に横浜市の林市長がそれまでの「白紙」からカジノ誘致を進める考えを明らかにしたため、横浜の市民らの猛反発をうけることとなった。
 サンズの大阪撤退の理由の詳細は明らかにされていないものの、大阪は、私たちが指摘し続けてきた予定地会場問題とりわけ交通アクセスをはじめとする整備への投資負担がより大きいということを考えた場合、大阪よりも東京や横浜の方が負担が小さくしかも集客力があると見込んでのことであろう。
 しかしこれで大阪府市と推進派は夢洲カジノを諦めたわけでは決してない。もともと大阪は首長が「全国のトップランナー 必ず誘致させる」と吉村知事が断言している如く、どこよりもカジノ誘致に前のめりであることを自慢してはばからないうえ、万博開催だけに終わらせてカジノ誘致を手放すことなど絶対に出来ない構えで臨んできた経過があるのである。また参入を表明していたカジノ業者は7社以上もあり、(マカオをはじめ外国カジノ業者のライセンス更新の趨勢とも関わるが、)アジアのなかで日本へのカジノ事業の進出は、特に高齢者を中心とする金融資産を彼らはターゲットにしており、儲かるとなれば必ずや名乗りを上げる筈である。
 
第8、臨時国会でのたたかい~カジノ管理委員会をめぐって~
 本年10月から臨時国会が開催される。国会ではカジノ管理委員会の人選が議題となる。
 カジノ管理委員会とは、とくに暴力団排除などカジノ場の管理監督に責任を担う機関である。ところが安倍総理に対しては、かつての総理自身の選挙戦で暴力団を使っていたことで金銭トラブルになっていたことを山本太郎参議院議員(当時)が取り上げたことがあった。
 カジノ管理委員会の長は総理大臣が就任することとなっているが、このような暴力団との黒い疑惑を抱えている総理がそもそもカジノ管理委員会のトップに就くことなど到底許されるものではない。
 カジノ管理委員会の人選をめぐり徹底した審議を行いながら、カジノ賭博場そのものの是非についても改めて徹底的に審議し、カジノ管理委員会の発足をさせない全国的規模での闘いが重要となる。

第9、拡がる運動
私たち大阪いちょうの会が参加する「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」は2013年に大阪ではじめてカジノ問題に取り組む団体を発足させ、今日まで活動を継続してきたが、2018年11月に大阪での万博開催決定を相前後して、府民の問題意識の拡がりと深化が顕著に運動に反映されることとなった。
 2018年10月には、個人加盟の団体である「大阪カジノに反対する市民の会」が設立された。同年11月20日に大阪府市のカジノIR誘致のための違法な先行支出である公費の返還と差し止めを求めた住民監査請求(その後住民訴訟に移行)が起こされている。
 また、翌12月には、大阪府市が高校生に「ギャンブルは適度に楽しむ娯楽」として違法であるギャンブルを肯定的に捉えるリーフの配布差し止めを求める住民監査請求(その後訴訟に移行)も起こされている。
 2019年3月に大阪市が夢洲の用途地域を工業地域から商業地域に変更する都市計画素案を発表したことに伴い、「夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会(夢洲懇談会)」が発足した。同懇談会は、万博に必ずしも反対ではない。万博開催を通じてSDGs目標11の実現を目指すとしている。会HPには『SDGs目標11は「住み続けられるまちづくり」ですが、夢洲開発には災害時の脆弱性を筆頭に、公害への懸念、廃棄物管理、生物多様性の損失等、検討すべき深刻な問題が数多くあります。住民参加型プロセスを経ない議論も大きな課題です。政府のSDGsアクションプラン「万博開催を通じたSDGsの推進」を現実にするために再考すべきです。 【夢洲のポテンシャルを生かし、リスク回避へ】「夢洲で万博開催?」夢洲は「生物多様性ホットスポット」であり「国際コンテナ戦略の中心的機能」を担う関西物流の要。一方、軟弱地盤や台風等、災害対策も大きな課題。万博とカジノは相容れないと考える市民団体が集まりました。』と記され、これまでどちらかといえば法律家団体などが運動の中心主体であったところから、自然保護、環境保護を中心とした団体が主体的に夢洲問題、カジノ問題に参画していただく流れが起こっている。またこれに呼応して現地夢洲の見学会なども相次いで取り組まれている。
 私たちは、万博開催に賛成の人も反対の人も、開催場所を変えるべきの意見の人も、「夢洲でのカジノ万博の開催は問題」の一致点を大切にしながら緩やかに幅広い方方や団体と手を結んで運動を進めてゆきたいと考えている。
 こうした運動の拡がりの中で、臨時国会会期中の10月22日には、大阪市内で「カジノあかん!夢洲あぶない!ここで万博だいじょうぶ?10.22市民集会」が開催される運びとなった。
 集会の実行委員会加盟団体についても、2年前に同じ規模で開催した集会の実行委員会よりも幅広く、大阪府下8主要団体で構成されるまでに拡がっている。

おわりに
 繰り返しになるが、大阪でのカジノ誘致に反対するたたかいは、時間とのせめぎ合いであり、推進派がこだわる立地場所の悪さが誘致の仇になっているという逆の意味での地の利を活かしたたたかいでもある。また、サンズの撤退表明に見られるようにカジノ事業者の投資意欲を削ぐことが出来れば、カジノは誘致されないことも明らかとなった。
 大阪府市では本来中立公正であらねばならない行政が「(カジノ誘致の)トップランナー」などと標榜するほどの偏向ぶりを示す異様な状況下である。そうであればあるほどその偏向ぶりのおかしさを府民市民に訴えてゆくことができるものである。大阪にも日本のどこにもカジノはいらない。
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桜田照雄阪南大教授「カジノ 「アカン」 「カネさえ入ればという考え方は問題」 」(毎日新聞)

カジノに関する反対、慎重意見
05 /26 2017
 カジノ問題を考える大阪ネットワークの代表も務めておられる桜田照雄教授(阪南大)のインタヴューが、毎日新聞紙上に登場しました。

 「カジノ業者のもうけは、客の負け。人の不幸の上に経済発展が築けるのか」・・・どのような思想で町づくりをしていくのか、私たち自身の倫理観や道徳観も試されているように感じます。

「カジノ解禁の危うい皮算用 国民全体をギャンブルに巻き込むビジネスモデル」(鳥畑与一氏)

カジノに関する反対、慎重意見
04 /22 2017
 デジタルイミダスの時事オピニオンで、静岡大学の鳥畑与一先生が、標記の見解を表明しておられ、私たちも勉強になります。

 章立ては下のとおりです。

 はじめに――容易ではないカジノオープンへの道
 問題点その1. 経済的効果の大きさで刑法の違法性は回避できる?
 「経済的効果の大きさ=公益性」という論理の矛盾
 問題点その2. 本当に経済的効果は大きいのか?
 問題点その3. 世界最高水準の対策で依存症を最小限に?
 終わりに――今後の審議の落とし穴
 
 ご一読いただければと思います。

管理者

 昨年末、残念ながら「特定複合観光施設区域の推進に関する法律」(カジノ賭博場の設置を進めるための法律)が成立し、また、各地の地方自治体がカジノ賭博場誘致のために活動を活発化させています。
 私たちは、こうした動きに反対し、「我が国にカジノ賭博場を設置させないことを主たる目的として設立」された民間団体です。
 私たちは、「全国各地に広がるカジノ賭博場設置に反対する人々と広範に連携して、日本中のどこにもカジノ賭博場を設置させないための全国的な取組みを行な」います。

HP http://www.anti-casino.net/index.htm

連絡先
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