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「パチンコ自己・家族申告システム」運用の限界

ギャンブル依存対策
04 /28 2018
 この間、一般社団法人日本遊技関連事業協会(以下、日遊協)の調査として、パチンコ業界が力を入れているという「自己・家族申告システム」の現状が報告されました。
プレスリリースされたようですが、日遊協のHPには見当たりませんでしたので、以下、報道された内容をもとに、コメントします。
 「パチンコ店における「自己申告・家族申告プログラム」とは、遊技客本人もしくはその家族が、当該遊技客の入店や遊技の回数や金額等を制限できる仕組みで、事前にパチンコ店に申告をしておけば、申告された上限である遊技回数や遊技金額を超えたタイミングで、店舗スタッフが遊技客に声掛けをするというもの」です。
 「平成30年2月末現在、「自己申告・家族申告プログラム」が導入されているパチンコ店の数は、全国で2075店舗」であり、「3月6日の時点で、この自己申告・家族申告プログラムに申し込んでいる人数は73名」、うち「71名は使用金額の制限をかけており、回数制限は9名、時間制限も9名」「入店制限を申告している人は4名」なんだそうです。
 カジノでも導入されるというこの制度ですが、確かに、ギャンブル依存対策としての効果を有するとは思いますが、ギャンブル依存が「否認の病気」であるという特質からすると、自己申告に期待することは誤りであり、家族による申告はありうるとしても、この制度による申告内容が、「全国のパチンコ店全店で共有される訳ではなく、あくまで、申告された店舗のみでの対応となり、遊技客本人が「どうしても、パチンコ(パチスロ)がしたい!」と思えば、隣の店に行けば良いということにな」ります。
 また、入店時に身分証明を要しない現制度では、人相や服装を変えればいくらでも入場できますし、また、制度利用者が増加した場合には、声かけが可能かどうか怪しいものです。
 したがって、この制度を全国のパチンコ店が運用したところで、情報共有がなされず、また、入場時チェックがなされない現状では、ほとんど効果を発揮できないでしょう。
 パチンコがギャンブルかどうかはおくとしても、我が国のギャンブル依存のほとんどがパチンコ依存であることからすれば、パチンコ業界のこのような甘い対応は看過することはできません。
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「3キロ以内のパチンコ店に注意」?

ギャンブル依存対策
03 /14 2018
 報道(毎日新聞、2月27日)によれば、「自宅から3キロ以内にパチンコ店ができると、男性ではギャンブル依存症を疑われる確率が高まるとの調査結果を慶応大大学院経営管理研究科の後藤励准教授らのグループがまとめた。低所得者の場合はさらに高くなる。」「パチンコ店から半径3キロ以内に住む男性の場合、パチンコ店が1軒増えると依存症が疑われる確率が1.9%増え、1.5キロ以内では3%増える関係にあった。男性、独身、低所得の各グループの確率は高まった」「後藤准教授は「ギャンブル施設が近くにあるほど依存症になる恐れが高まる。カジノも一緒で、3キロ以内に住宅がある場合や、ギャンブル経験の少ない若者には規制が必要だ」」とのことです。
 米国でも、同趣旨の調査結果があります。パチンコの異常性は、いつでもどこでも誰でも気軽にギャンブルができるという点に収斂されており、換金の摘発のほか、立地等の営業規制を厳格にすべきであると思います。
また、カジノ誘致箇所の3キロ以内に居住の方はもちろんですが、カジノ誘致の問題は、当該自治体住民、そして、隣接自治体住民に大きく影響を及ぼすものであると思います。
 そういった方々の幅広い賛同が得られないカジノ誘致は、即刻中止すべきではないでしょうか。

「ギャンブル依存症対策 馬券のネット購入、家族申告で制限」

ギャンブル依存対策
01 /01 2018
 報道によれば、「JRAは・・・家族の申告を受けて馬券のインターネット販売を停止する措置を開始する。・・・
 ・・・家族申請で馬券のネット販売が停止されるのは医師からギャンブル依存症と診断を受けた人や、経済力に見合わない高額な購入をしている人。本人と同居する親族が申請書類を提出し、JRAが対象者に該当すると判断した場合、会員登録によるネットでの馬券販売が停止される。
 同様のサービス制限は、来年4月から地方競馬や競輪、競艇、オートレースのネット販売でも実施される。また来秋からは、家族の申告で競馬・競輪場、場外チケット売り場に本人の入場を制限する制限拡大も目指す」(毎日新聞、12月25日)のだそうです。
 ギャンブル依存症は否認の病なのに、医師を受診して「医師からギャンブル依存症と診断を受け」る人がどんだけいるのか、「経済力に見合わない高額な購入」っていうのも本人が協力的でないもとでどのように証明するのか、疑問を感じます。
 また、「本人と同居する親族」として、申請権者から同居しない親族を除外するのも、実態に合わないのではないでしょうか。
 必要な取組みではあると思うものの、依存状態に陥った人に対する規制にすぎず、依存状態に陥らないようにするにはどうしたらよいかという視点が欠落しているのではないでしょうか。
 さらにいうと、そもそもインターネットを通じて合法的博打ができるということ自体を許してよいのでしょうか。ギャンブルは、お気軽にできないように、できるだけ日常から遠くにあるべきです。インターネット投票制度自体を廃止すべきだと考えます。

京都大学がカジノ(ギャンブル)事業の手助けをするそうです

ギャンブル依存対策
12 /16 2017
 京都大学が、セガサミーと組んで、「安心安全なIR施設の開発・運営を目指して」「ギャンブル依存症についての産学共同研究を開始」するんだそうです(プレスリリース)。
「セガサミーでは・・・既存のカジノ運営では為し得なかったカジノ施設内での全プレイデータを収集する仕組みを鋭意開発しています。本研究成果と結びつけることにより、依存症の兆候がみられるプレイヤーを早期に発見し、深刻化を未然に防ぐ仕組みの確立を目指します」と仰いますけど、全プレイデータを収集する仕組みは、IDカードなくして一切の賭けができないことにしてしまえば、簡単にできるように思います。それをしないのは、そんなことをすると客に嫌がられて、ギャンブル場の売上げが上がらなくなるからではないでしょうか。そんな簡単なことをしようとしないギャンブル事業者にギャンブル依存対策を期待するのは間違っていると思います。
「施設利用時における自制・抑制を促す施設オペレーションを確立することにより、啓発、予防から医療機関等による治療との連携まで一貫した体系的なギャンブル依存症対策の構築」するそうですが、ギャンブル事業者のひも付きの研究は、ギャンブル事業者の儲けをいかにあげるのか、ギャンブラーたちをいかにしてカモにしていくのか、ということに利用されていくことでしょう。
そして、ギャンブル事業者が「社会的課題についてもしっかりと向き合っていく」ポーズを見せることで、ギャンブル事業にいかに客を集めるかという真意を隠しながら、ギャンブル事業に対する風当たりを弱めさせる手助けを京都大学がすることになりませんか。

ギャンブル依存症対策法案、再提出へ

ギャンブル依存対策
11 /24 2017

 報道によれば、自公両党は、解散総選挙に伴っていったん廃案になっていたギャンブル依存症対策基本法案を、再提出して、早期成立を目指すとのことです。
 ギャンブル依存対策基本法案は、自公案のほか、民進案、維新案が提出されていて、微妙に異なりますが、決定的な違いはなく、いずれもそれで大丈夫なのか(不十分ではないか)という疑問はありつつも、与野党で対決して、誰かが反対するということは基本的にはないでしょうから、成立するものと思われます。
 ギャンブル依存対策を講じていくにあたっては、ギャンブル依存は自己責任の問題ではなくギャンブル産業とその存在を容認する社会の責任であること、それゆえに事業者、国、地方自治体はギャンブル依存に陥った本人、家族の治療、回復を支援する義務、また、ギャンブラーがギャンブル依存に陥らないように必要な措置を講じる法的義務を有していること、対策を講じていくにあたってはギャンブル依存当事者の声を聴いてその内容を製作レベルに高めていく仕組みを作ること、対策は「パチンコ」も含む現行ギャンブル・遊技を広く包括的に講じられるべきことなど、いくつかの大切な点を確認する必要があると考えます。

管理者

 昨年末、残念ながら「特定複合観光施設区域の推進に関する法律」(カジノ賭博場の設置を進めるための法律)が成立し、また、各地の地方自治体がカジノ賭博場誘致のために活動を活発化させています。
 私たちは、こうした動きに反対し、「我が国にカジノ賭博場を設置させないことを主たる目的として設立」された民間団体です。
 私たちは、「全国各地に広がるカジノ賭博場設置に反対する人々と広範に連携して、日本中のどこにもカジノ賭博場を設置させないための全国的な取組みを行な」います。

HP http://www.anti-casino.net/index.htm

連絡先
事務局長
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弁護士法人青空 尼崎あおぞら法律事務所内
弁護士 吉田哲也
電話 06-6493-6612